超高齢化社会であり、高齢者の増加とともに、在宅介護をしている方も増加しています。また、平均寿命と健康寿命の差が10歳以上ということもあり、在宅で生活している高齢者の多くは介護が必要な状態となります。
在宅介護を行う中で最も悩むことは、看取り期をどのように過ごすかということではないでしょうか。高齢者の多くは、「家で最期を迎えたい」そう考えている方が多いのが現状です。
ここでは、在宅介護で看取りをした体験談について、ご紹介いたします。

高齢者だけではなく家族のサポートが重要
高齢者の死因第一位は、肺炎です。肺炎は、どのような疾患を持っている方でもなりうる病気であり、身体能力の低下とともに罹患する確率は高くなります。中でも、介護が必要な高齢者の場合、誤嚥性肺炎を起こすリスクも高くなります。
高齢者の多くは、何かしらの病気を抱えており、徐々にADLが低下していきます。例えば、認知症を患っている高齢者は、徐々に認知症が進行していきます。初めは、食事を一人で食べることができ、なんでも好きなものを食べられます。しかし、徐々に飲み込みが悪くなり、食事のときにはむせるようになります。家族は、身体状況に合わせた食事を提供し、ADLを把握していかなければなりません。
やがて、食事の時だけではなく寝ているときも痰を呑み込めずむせるようになり、痰を吐き出すよう促さなければなりません。そのため、家族は休まる暇がなく、高齢者を見守り続けることになります。さらに進行していくと、寝たきり状態となり24時間高齢者の状態を把握し、介護が必要となってきます。この時点で、家族は休まる時間はさらになくなり、心身ともに疲労困憊状態となっています。
デイサービスやショートステイなどを利用し、家族の休まる時間を設けるよう心掛けても、家にいる時間は常に気を張っていなければならない状態となります。このような状態の中、高齢者の介護・自身の家族の事など、生活自体の不安が増加していきます。介護保険制度では、高齢者に対するケアはあっても、家族に対するケアはありません。そのため、家族は相談する相手もいなく、孤独と向き合い生活することが多いです。
高齢者の最期が近くなればなるほど、家族はこのままでよいのか悩み苦しむ時期が来ます。このような状態をケアできるのは、高齢者のケアマネージャーや訪問看護師等になります。そのため、高齢者の最期を看取る際、高齢者だけではなく家族をもケアをすることが、とても重要なことになります。高齢者を在宅介護で看取りをする際には、他人にはわからない家族の不安・不満・悲しみ・辛さなどがあります。そこを、高齢者介護を通じ身近に感じている、医療・福祉の職員が家族ケアすることで、家族の多くは救われていることを理解しておくことが重要です。
在宅介護で看取りをすることは、徐々に進行している病状を受け入れ、全身全霊で介護を行わなければならないこと、またそれが心身ともに辛いことを、周囲が理解することが重要です。