
介護保険を使う際に欠かせないのが介護認定です。介護認定を受けておかないと介護保険は使えませんので注意しておきましょう。ここでは介護認定を受ける流れ、受ける際の注意点やポイント、認定の基準などについてご紹介していきます。
介護認定を受ける流れ
介護認定を受けるためには、まず保険者(市町村などの自治体)に介護認定申請をしなければなりません。この申請は自己申請が原則ですので、介護状態になったからといって自治体から声掛けなどがある訳ではありません。自分で自ら申告をすることが必要になります。申告制であるということを覚えておきましょう。
申請書は市役所や区役所などにもありますし、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などケアマネージャーが在籍しているところにもあります。
申請をすると介護認定調査があります。介護認定調査は認定調査員が体の状態や住宅環境などをチェックして介護度の参考にします。介護認定調査が終わればその情報と、主治医の意見書を参考にして介護認定審査会にかけられ、そこで介護度が決まります。
申請から介護認定が決まるまではおおよそ1か月から1か月半ほどかかりますので注意しておきましょう。
介護認定を受ける際に注意したいこと
介護認定を受ける際に気を付けたいポイントとしては、何を基準としているかというところです。よくある間違いとして、自分は病気もたくさんしている、薬も沢山飲んでいるから介護度が高いだろうと思ってしまうことがあります。病気などはあくまでも参考程度にしかなりませんので注意しましょう。介護認定では「どれぐらい介護が必要なのか」というところを重点的に調査されます。
例えば、病気があっても自分で身の周りのことができる、時間がかかってもゆっくりであればできるということであれば、介護が必要ないと判断されて認定が出ない可能性があります。反対に病気がほとんど無くても加齢による体の弱りで、自分で身の周りの事ができない、日常生活動作に介護が必要な場合は介護度が高くなる可能性が高いのです。その為、認定調査員は「自分でトイレに行けるのか」「自分で着替えができるのか」「歩行は?」など日常生活動作を調べていきます。
また、介護認定は主治医の意見を重視する傾向にあります。ここで注意したいことは、日頃から主治医にかかっているかどうかということです。介護認定を受けようとするということは何らかしらの病気にかかっている可能性がありますので病院にかかっていることが多いのですが、人によっては病院にかかっていないこともあります。介護認定には主治医の意見が必要ですので、主治医がいない場合は保険者が紹介をする病院に受診をしますが、そのような場合は日頃からの信頼関係が出来ていませんので、有用な意見を書いてくれない可能性があります。
馴染みの医師を見つけつつ、介護認定を受ける際には一言伝えておくと良いでしょう。
介護認定調査を受ける際のポイント
介護認定調査を受ける際に注意したいこととしては、困っていることを調査員にしっかりと自分の困っていることを伝えるということです。困っていることがしっかりと伝えれない場合は、想定している介護度よりも低く出てしまう可能性がありますので注意しましょう。
特に認知症の方の場合は、自分で自分の事を伝えるのが非常に困難になってしまいますので、介護をしている家族などが代弁するなど配慮しておきましょう。また、認知症でない場合も、日頃から介護をしている側の意見は非常に重要になりますので、介護者がしっかりと伝えられるように工夫をしておきましょう。
介護認定をスムーズに受けるには
介護認定は誰でも受けられるよう、極力簡単に申請が出来るように配慮されていますが、高齢者が一人で申請をしたり、忙しい家族が申請するのは手間がかかってしまいます。自分で申請をするのが難しいと感じる場合は、ケアマネージャーに依頼をすることをお勧めします。ケアマネージャーの業務の一つに「介護申請の代行」がありますので、遠慮なく依頼しましょう。
ケアマネージャーは地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などに在籍をしています。もし、その場所がわからない場合は市町村に問い合わせると教えてくれます。ケアマネージャーによっては介護認定の場に立ち会ってくれたり、介護認定が出てからサービス利用まで対応してくれる場合も有りますので、依頼をすることをお勧めします。
介護認定の基準について
介護認定は現在要支援1,2と要介護1~5の7段階に区分されています。要支援1が最も軽く、要介護5が最も重くなっています。どういった基準で決められるのでしょうか?目安を知っておくことによっておおよその介護度が事前に把握できますので、是非参考にしてみてください。
・要支援1
要支援1は介護度の中でも最も軽い状態です。日常生活上の動作は自分でほとんどできるが、掃除や買い物などの複雑な動作に介助が必要な状態のことを言います。
・要支援2
要支援2は要支援1よりも介助が必要な状態であり、限りなく要介護1に近い状態です。歩いたりすることは大丈夫でも、時々転倒をしたりする、長時間の歩行が出来ないなどの状態が要支援2に当てはまります。
・要介護1
要介護1は全てに介護が必要というわけではなく、部分的な介護が必要だという状態です。良い時と悪い時の状態が行き来する状態です。食事や排せつなどの基本的な動作は行うことができて、それ以外の掃除や洗濯などの動作には介護が必要になる場合に該当します。
・要介護2
ここからは日常生活の動作になんらかの支援が必要な状態になってきます。軽度の認知症もここに含まれます。歩くことに対して介助が必要であったり、立ち上がりなどの基本的な動作にも介助が必要になってきます。
・要介護3
ほとんどの動作に介助が必要になります。例えば、車いすの方は要介護3に認定されることが多いです。日常的に介助が必要な状態ですので、特別養護老人ホームは要介護3以上の方を入居対象としているほどです。中度から重度の認知症の方は要介護3に認定されることが多いです。
・要介護4
要介護4になりますと、ほとんどの場合寝たきりの状態になります。移動は車椅子、それ以外はベッドで過ごす方が多くなります。また、認知症でも暴力や徘徊などの問題行動があり、介護が困難な場合も要介護4と認定されることがあります。
・要介護5
要介護5になりますとそのほとんどが寝たきりの方になります。要介護4との違いは、医療的な処置が必要かどうかで判断されることが多いようです。例えば胃ろうであったり、褥瘡などが日常的にある場合は要介護5と判断されます。
介護認定に不服がある場合
もし自分の介護認定が思っていた状態よりも低い場合は、不服申請というものが出来ます。しかし、不服申請には非常に手間がかかり、時間もかかりますので、あまりお勧めはできません。
また、不服申請をしている期間は、介護認定が決まっていませんので介護保険のサービスは暫定で使うことになります(介護度が決まっていない状態でサービスを使うこと)ので、自分が思っている介護度が不服申請をしても出ない場合は、全て全額自己負担になるリスクもあるということを理解しておきましょう。
万が一不服申請をする際はケアマネージャーに相談をしておきましょう。