最後は必ず老人ホームに入れなければならないのか

家族の看護
2016.08.30
最後は必ず老人ホームに入れなければならないのか

家族の高齢者に介護が必要となったとき、初めは在宅で介護をすることが多いです。しかし、高齢者の状態が心身ともに悪化していくにつれて、最期をどのように迎えるか悩むようになる方も多いのではないでしょうか。特に、認知症高齢者の場合は、症状は進行していても先が見えないと感じている家族が多いです。このまま生活をしていくと、在宅生活は厳しくなるのではないか、最期は必ず老人ホームに入れなければならないのかなど、考えている方も多いのではないでしょうか。

必ずしも老人ホームに入れなければならないわけではない

介護が必要な高齢者の多くは、認知症を患っていることが多く、認知症の進行に伴い家族の介護に関する負担も増加していきます。そのため、在宅生活が厳しいと感じ辛い状況であれば、老人ホームに入所することも解決策の一つです。しかし、老人ホームに必ず入れなければならないわけではなく、在宅で居宅サービスを利用しながら生活する方法も選択肢の一つです。高齢者を老人ホームに入れることがかわいそう、またはまだ頑張れると感じ、最期まで在宅介護を続ける方も少なくありません。そのため、在宅で最期まで介護を行うのであれば、ケアマネージャー等と相談し、よりよい在宅生活を検討していくことも重要となります。

高齢者と家族の思いの前に、家族の心身状況を優先

在宅で介護をするということは、高齢者本人にとってはうれしいことかもしれません。しかし、介護者の負担がどれほどのものなのか、周囲には計り知れないのが現状となります。特に、「介護しなければならない」という義務感から介護をしている場合、介護者の心労は余計に大きいものになります。

そのため、高齢者に対する思いやりや労り、介護をしなければと思い頑張って在宅で介護することは、決して良いことばかりというわけではないのです。家族の心身状況が悪化している中で高齢者が在宅で生活する場合、高齢者にとっても精神衛生上良くないということが少なくありません。そのため、家族の心身状況が不安定または悪化している場合には、老人ホームに入所し可能な限り面会に行くといった生活をする方が、互いにとって良い選択であることもあります。

高齢者にとって笑顔が大切

生活をする上で最も重要なことは、「笑顔」で生活をすることではないでしょうか。笑顔のある生活とは、在宅でも施設でも高齢者が心身ともに安心した生活を送ることができているということになります。特に、在宅で認知症高齢者が生活をするということは、主介護者だけではなく一緒に生活をする家族にも影響が出てくることがあります。その際に、高齢者の被害妄想や暴言などに伴い、家の中の雰囲気が悪くなってしまうこともあります。その結果として、家庭から「笑顔」が消えてしまうことも少なくありません。そのため、家の中の雰囲気によっては、在宅ではなく老人ホームでの生活を、選択肢の一つとして考えていくことも重要となります。