老人ホームってどんな種類があるの?

家族の看護
2016.09.12
老人ホームってどんな種類があるの?

老人ホームの数は近年非常に増えてきており、介護に馴染みが無くとも施設を見たことがあるという方は増えています。しかし実際に介護に関わっている人でなければ老人ホームの種類、特別養護老人ホームや老人保健施設、有料老人ホームなどという種類について知っている方は少ないのではないでしょうか?

ここでは3つの施設についてご紹介していきます。(以下、特別養護老人ホーム=特養、老人保健施設=老健、有料老人ホーム=有料と称します)

特別養護老人ホームの特徴

特養は、老人ホームの基本的な形態であり、老人ホーム=特養と認識して間違いはないです。特養は日常的に介護が必要な方に対して介護を提供することを目的としており、第二の自宅として生活してもらっています。

■対象者について
対象者は、法改正によって要介護3以上となりましたので、要介護3以上の方が入所されています。施設によってはほとんどが寝たきりの方で要介護度の平均が要介護4以上の施設もあります。また、要介護3以上はあくまで原則ですので、自宅で介護をする方がいない、虐待を受けているなどといった特別なケースの場合は要介護3以下の方でも入所することができます。

特養の特徴としては、自宅のように過ごして頂くという特徴があり、その反面医療的な面には弱いところがあります。その為、医療的な処置が必要な方は入所を断られるなどの事もありますので注意が必要になります。

■特養の形態について
特養は主に2種類あります。新型特養と従来型特養です。新型特養は新しくできた特養であり、原則個室対応、10名前後を1ユニットとして少人数制の家庭的な雰囲気で過ごすことができます。料金は高いのですが、自分らしい生活が送れるというメリットがあります。従来型特養に関しては、昔からある特養で原則4人部屋、料金が安いことがメリットになります。しかし、大人数で生活をする為個性よりも集団で生活することが求められますので、生活をする上で窮屈に思うこともあると言われています。

■待ち人数について
特養の問題点の一つとしては、待機者が非常に多いという点があります。施設によっては100人待ちというところも少なくなく、入りたくても入れないということが社会的にも問題になっています。
特に従来型の特養ではその人数は多く、1年以上待ってやっと入ることができた、などの問題があります。それに対して新型の特養の場合は料金の問題もあり、待機者が0名の所もありますので、特養を選択する際は注意が必要です。

■特養は最期まで看てくれる
特養は最期までその方を介護してくれるのが特徴です。その為、一度入所しておくと最期までその施設で生活する事ができますので、家族も本人も安心して生活を送る事ができるのが特徴です。

老人保健施設の特徴

老健は病院などから自宅に帰ることが不安だと感じる方がリハビリ目的で入所する施設です。そういった点から特養と比べると違う点があります。

■対象者について
老健は特養に比べると介護度での制約が緩く、要介護1であれば入所することができます。また、特養よりも医療的な面で充実していますので胃ろうの方など、医療的に処置が必要な方でも入所することができます。
また、精神的に問題があり集団行動が難しい場合でも、特養に比べれば入所はしやすい傾向にあります。

■短期間で退所しないといけない場合もある
老健はあくまでも自宅までの繋ぎの施設ですので、場所によっては3か月ほどで退所しないといけない場合も有ります。特に最近増えてきた在宅復帰型の老健には注意しておきましょう。
在宅復帰型は在宅復帰率が非常に高い老健であり、入所をしても3か月から半年ほどで退所しないといけない問題があります。しかし、通常の老健であれば自宅に帰ることが難しい場合はそれ以上の期間を見てくれることがありますので、事前に確認をしておくことが必要になります。

■リハビリをしっかりと受けられる
老健の特徴としては、リハビリをしっかりと行ってくれるという点です。特養と比べると理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などといったリハビリの専門職が多いですので、専門的なリハビリを受けることができます。
特に骨折をした後に入院をして老健に行く方などは、しっかりとリハビリをしてある程度歩ける状態になってから自宅に帰宅する方も多いです。

■老健の長期化が問題となっている
老健は本来病院と自宅の間の施設ですが、近年は老健で長期間過ごすことが問題となっています。人によっては数年間老健で過ごしたり、あるいは最期まで老健で過ごすことが増えてきています。
しかし、これは老健の本来の役割ではありません。今後国を挙げてそういった事態を防止することになっていますので、老健に長期滞在する人は減少していくことが予想されます。

有料老人ホームの特徴

有料老人ホームは介護保険上では特定施設と呼ばれます。特定施設生活介護が有料老人ホームの正式名称になっています。有料ではどのような特徴があるのでしょうか?

■料金について
有料の最大の特徴としてはその料金の高さが挙げられます。特養と老健では入居一時金というものはありませんが、有料の場合はその多くで入居一時金があります。金額としては数十万円から、高いところでは数千万円にもなります。また、月額料金も管理費などが含まれますので高いところでは30万円以上の価格になることがあります。
最近は料金が低い施設が増えている傾向にありますが、そのような施設の場合は受けられるサービスの質が低いことも多くありますので注意しておきましょう。

■対象者について
有料の対象は施設によって違います。有料によっては65歳以上であれば介護認定を受けていない方でも受け入れが可能であったり、要支援1から入所可能というところもあります。また、施設によっては医療的な部分が充実しており、常勤の医師が働いている場合もありますので、他の施設では断られるような方でも受け入れをしているところもあります。

特に料金が高い有料ではその傾向が強いので、料金が気にならない方は是非検討をお勧めします。

■受けられるサービスについて
有料はその場所によって受けれるサービスが違います。特に料金が高いところでは、食事サービスが充実していたり、フィットネスジムが完備されていたり、プールがあったりなど様々なサービスや設備があります。また、スタッフの人数も多く非常に手厚い介護を受けられることがあります。
一方、料金が安いところでは、受けられるサービスの質が低い傾向にあり、2人部屋であったり、食事も簡素なもの、スタッフも少ないなどの差がありますので注意しておきましょう。

■介護付き老人ホームがお勧め
特養や老健、有料で悩んでいる方が有料を選択するときは、介護付き有料老人ホームを選択するようにしましょう。有料には介護付き、住宅型、健康型がありますが、基本的に介護付き以外は常時の介護を受けることは困難です。
その他はある程度健康な方、自立している方が住むことを想定しているサービスですので、注意しておきましょう。

特養、老健、有料と様々な介護サービスがありますが、受けたいサービスや目的によって選択することをお勧めします。家族の方などはどれが一番良いのかわからないという場合もありますので、その場合はケアマネージャーに相談したり、施設の生活相談員に相談することが大切になります。